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休日の朝、渋滞する国道。先頭で赤信号に引っかかった私は、思わずシートから身を乗り出した。
「また見えない……」
垂直に切り立ったフロントガラスのせいで、上の信号がルーフに隠れてしまうのだ。おまけに、少し荒れたアスファルトではSUVらしい足回りから「ガツン」と無骨な突き上げが腰に響く。
ふと横の車線を見ると、ピカピカのN-BOXが滑るように走っていった。室内は広大で、視界も良く、乗り心地も極上。まさに日本の「大正解」だ。でも、不思議と羨ましくはなかった。N-BOXは完璧な「移動するリビング」だが、休日に泥だらけのブーツで乗り込むには気が引けてしまう。
ならば、本格派のジムニーにすべきだったか? いや、平日はスーパーの買い物と駅の送迎がメインの私に、あの重いハンドルと燃費の悪さは日常の苦行になる。最大のライバルであるタフトの広大なガラス屋根も魅力的だったが、荷室と後部座席の使い勝手の悪さを前にハンコを押せなかった。
青信号になり、アクセルを踏む。全車標準搭載されたマイルドハイブリッドの恩恵で、エンジンは無粋なセルモーター音を立てることなく、スッと無音で再始動し、スムーズに車体を押し出した。
目的地である川辺に着き、防汚加工されたラゲッジルームに、濡れたタープや泥のついたギアを無造作に放り込む。この**「雑に扱えるタフさ」と、駐車場で自分のクルマを振り返ったときの「ニヤリとするギア感」**こそがハスラーの真骨頂だ。
究極の実用性ならN-BOXの圧勝。絶対的な悪路走破性ならジムニー。突き抜けた開放感ならタフトだろう。
ハスラーは、そのどれの1位でもない。だが、**「日常の8割を快適にこなしつつ、残り2割の非日常へいつでも飛び出せる」**という唯一無二のバランスを持っている。少しくらい信号が見えなくたっていい。この「遊び心ある絶妙な妥協点」こそが、他のどのクルマにも代えがたいハスラー最大の魅力なのだ。

本音をぶつけろ!